3年分の感謝の気持ちを込めて。
11/15のログ。
①ヴァージンホール
②ブルーコーナー
③ジャーマンチャネル
ヴァージンホール。
ここのホールを構成する「ブルー」は、
ブルーホールに比べ、
深度と光りの加減だろうか、
どことなくより神秘的な雰囲気を醸し出します。
ホールの底から縦穴を見上げると、
柔らかく、
でも強烈なエネルギーを備えた太陽の光りが目に刺さり、
また、
横穴に目をやると、
その光りを地球の母なる懐が吸収した、
-30mの濃いグランブルーが、
こっちへおいでと手招きしてる。
体験出来るのは、
僅か数分の「ブルー」の彩るドラマ。
心が洗われる瞬間...。
ホール内暗がりに潜む、
深海魚のような、
「シモクダリボウズギスモドキ」の群れ、
透明・スケルトンの、
「サクラテンジクダイ」。
その環境に合わせた進化を遂げる、
生命たち。
ホールの底に溜まった「星の砂」に、
さらに自然が創り出す神秘を感じずにはいられません...。
ブルーコーナー。
ダイバーにとって、
奇跡のポイント。
こんなにもダイバーたちを魅了するポイントは、
世界でも稀だと思います。
濃い魚影、
抜ける透明度、
潮当たりの良い地形、
潜るのに適した深度、
サプライズ、サプライズ...。
いつ入っても、
必ずそれなりに満足のいくダイブが出来てしまう。
当然、
より良いダイブをする為には、
潮が読めなくてはならないし、
魚たちの動きに敏感でなければならない。
ガイドを惑わし、
脅かす潮流。
変わりやすい潮に泣かされることもあれば、
激流で身動き取れないこともあるし、
時にこちらが動かずとも、
水中世界のショーを、
素晴らしく演出してくれることもある。
何度入っても、
違った顔を見せてくれる。
それがブルーコーナーってヤツ。
この日も、
そんな気まぐれな流れに翻弄されながらも、
濃い魚影を堪能できた。
初めて潜った時と変わらない、
興奮と感動があった。
それって、
スゴイ事だと思いませんか?
奇跡のポイントです。
ジャーマンチャネル。
魚の気持ちなんて読めない。
でも、
少しでも理解出来たら...
ガイドする人間なら、
誰しもが一度は思い、
悩み・考えること。
マンタを求め、
何度となくここに潜り、
何度となく泣かされたことか。
でもこの日は、
ある種の確信があったんです。
マンタの気持ちなんて解りはしないけど、
そのマンタのもつ本能と、
こちらの今までの経験の蓄積と、
そして...
勘。
ボクのガイドは、
どちらかと言うと、
経験よりも、
勘に頼るとこが大きいかも知れない。
直感。
でも、
結局はそれも経験の裏付けによるものなのかも知れないけど。
この日は、
予定ではクリーニングするマンタをじっくり...
のはずだったんですが、
捕食してます...。
何かカッコいい事言ってたわりに、
早くもボクの「勘」は外れたワケですが、
まぁいい誤算だったので...。
着底して仰ぎ見るも、
その姿は遠く、
何とか出来うる範囲で近付くも、
まだ遠い。
でも遠めからでも、
その舞う姿は、
やっぱり美しい、
と思う。
そして、
プランクトン・イーターたちの造る、
フィッシュボールと相まった、
その魚玉と、
周りで舞うマンタ。
その光景は、
食欲・生存と言う名のエネルギーに満ち溢れている...。
ほど良く流れる上げ潮に乗り、
チャネルを流しながら浮上し始めたその時、
彼方からゆっくりとこちらに近付いて来るマンタが。
最後の最後の締めとしては、
最高です。
マンタの気持ちは解らずとも、
こちらの気持ちは解ってもらえてたのかな?
一番近付いた時に、
3年分の感謝の気持ちを込めて、
「ありがとう。」
どのダイブも、
ボクの中では最高のダイブでした。
最後にはサプライズもして頂きました。
これがボクのパラオでの3年間分の集大成。
これ以上でもなければ、
これ以下でもない。
...
...
この日11月15日をもちまして、
クルーズコントロールを退社致しました。
ダイビングガイドとしての仕事は、
ここで一先ず終わり。
...一先ずも二先ずもありません、
終わりであります。
早いもので、
パラオに来て3年が経ちました。
クルーズコントロールの、
10年分の3年の歴史を、
スタッフの一員として担えたこと、
この仲間たちと共に働けたこと、
そして橋本はしぞーの下で働けたことを、
誇りに思っております。
自分にないモノを持ち合わせた仲間たち、
そして、
いろんな面を見て来ましたが、
最終的に、
やっぱりこの人はスゲェなぁ、
の一言で終えられそうな、
社長。
皆それぞれに尊敬すべきトコがあり、
その集合体だからこそ誇れるショップだと思っております。
お世話になりました。
ありがとうございました。
そして、
こんなガイドについてきて下さったゲストの皆様に、
心から感謝致します。
老若男女問わず、
多種多様な方々と出会え、
共に感動を分かち合うことが出来る。
こんな仕事って、
他にあります?
ボクにとってその出会いのすべてが、
何よりの宝・財産です。
ゲストの方々と一喜一憂しながらのこの仕事、
時に天職だと思う瞬間もありましたが、
ほとんどが、
オレって向いてねぇなぁ...
だった気がします。
でも、
その、
オレって向いてねぇなぁ...
があったからこそ、
この仕事に何よりも情熱を注ぎ込め、
時に優しく、
時に厳しくボクらを迎えてくれる海に対しても、
真摯に向き合えたのかも知れません。
改めて思うこと、
オレはこの仕事が大好きだったんだなぁ。
これからボクは、
新たなスタートラインに立とうとしております。
31歳になり、
でもこの年でやってみたいと思える仕事に出会えそうなこと、
そしてそれを温かく見守っていてくれる(であろう)パートナーがいること。
パラオを離れることに、
程よい感じの寂しさを感じてはおりますが、
それ以上に未来に対する楽しみ・期待が膨らんでいるのです。
しばらく、
どれくらいしばらくでしょうか、
とにかくしばらくの充電期間を経て、
必ずまた皆様とは今とは違った形でお目にかかれると信じております。
ゲストの皆様と共に歩み、
クルーズコントロールと共に成長した、
この3年間の経験・記憶を、
必ず活かしたいと思っております。
これからも皆様、
どうぞよろしくお願い致します。
そして、
何はともあれ...
ありがとうございました!!
3年分の感謝の気持ちを込めて。
2009年11月17日
田中厳TanakaGen
# by CC-gen | 2009-11-17 16:28